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社会保険ニュース : 消えた年金問題 14万6000件を回復 総務省
以下、引用です。
払った保険料の記録がなくなる「消えた年金」問題を審査する総務省の年金記録確認第三者委員会は14日、設置された2007年6月以降約30万件の申し立てがあり、このうち約14万6000件の記録を回復したなどとする報告書をまとめた。
業務は今年3月から既に厚生労働省に引き継いでおり、第三者委は15日の閣議で廃止が決まる予定。
第三者委は第1次安倍内閣時に発覚した消えた年金問題を解決するため、弁護士や社会保険労務士などをメンバーとして07年6月に新設。国に記録がなく、受給者側にも領収書など公的な納付記録がない人に対し、記録がない期間以外の納付状況や行政の処理ミスの可能性などを検討し、年金給付の可否を判断してきた。
申し立て件数は今年4月下旬までの約8年間で計29万3621件。本人が取り下げたケースなどを除いた26万8453件のうち、54.3%の14万5936件の年金記録が回復した。近年は申し立て件数が減少傾向にあるという。
一方、「納付者の記憶が乏しい、不明確」「申し立て内容に矛盾や事実との相違がある」などのケースは回復していない。
年金は元々厚労省の所管だったが、公正・公平さをアピールしようと、安倍晋三首相が当時総務相を務めていた菅義偉官房長官に指示して第三者委を総務省に設置した経緯がある。
(5月14日 毎日新聞)
労災ニュース : 裁量労働制の男性 遺族側が立証し過労死認定
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証券や国債などの市場情報を提供する東京都内の会社でアナリストとして働き、心疾患で亡くなった男性(当時47歳)について、三田労働基準監督署(東京都)が過労死として労災認定していたことが分かった。男性は仕事の進め方などを労働者の裁量に委ね、実際の勤務時間とは関係なく一定の時間を働いたとみなして給料を支払う「裁量労働制」で働いていた。労働時間が重要な判断材料になる過労の労災認定で、労働時間が不明確な裁量労働制の勤労者が過労死と認定されるのは極めて異例。
遺族代理人の棗(なつめ)一郎弁護士によると、男性は1996年に入社。市場の動向を分析し、ネットを通して顧客にリポートを発信していた。会社側と合意のうえで裁量労働制で働き、残業時間は月40時間とみなされていた。2013年7月に倒れ、心室細動で亡くなった。
過労死の労災認定は、直前の1カ月の残業が100時間を超えるか、発症前2〜6カ月の残業時間が月平均80時間を超えるのが基準。男性は裁量労働制だったため正確な労働時間を会社側が把握しておらず、みなし残業時間の40時間では労災認定は困難とみられた。
遺族側はリポートの発信記録や同僚の証言などを基に男性の労働実態を調べた。遺族によると、男性は午前3時ごろに起床して海外市場の動向を分析。午前6時ごろに出社し、朝一番の顧客向けリポートの発信記録はいずれも午前6時40分ごろだった。1日のリポート数は午後5時半までに30を超え、早朝出勤しているにもかかわらず「他の従業員より早く帰るな」と注意されたり、高熱でも出勤を命じられたりするなど本人の裁量は実質的になかったという。
遺族側はこれらの調査から発症前1カ月の残業を133時間、発症前2〜6カ月の平均残業時間を108時間と判断し、14年8月、三田労働基準監督署に労災認定を申請。同署は15年3月、労災認定した。
遺族は「裁量労働制で労働実態が分からず泣き寝入りしている遺族はたくさんいると思う。経営者がきちんと労働時間を把握すべきだ」と話している。
(5月12日 毎日新聞)
労働法ニュース : 名取市急患センター 賃金形態に不備で是正勧告
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名取市休日夜間急患センター(同市下余田)が、職員の賃金形態に不備があるとして、仙台労働基準監督署から労働基準法に基づく是正勧告を受けていたことが11日、分かった。
同センターによると、勤務する看護師と事務員、計25人の賃金に関する4項目の是正を求められた。
(1)労使協定がないのに週40時間、1日8時間を超えて労働させている(2)就業規則にパートタイマーらの年次有給休暇制度を設けていない(3)就業規則に退職手当などの事項を定めていない(4)深夜労働に対し2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払っていない−ことが労基法違反とされた。
勧告は3月20日付。これを受けて同センターは時間外労働に関する労使協定を4月23日に定めたほか、年次有給休暇制度と退職手当などの規則を6月末までに策定する方針。深夜労働の割増賃金は2014年12月1日にさかのぼった不足額を今月21日に支払うとしている。不足額は現時点で算定できていないという。
名取市休日夜間急患センターは市が1997年11月に開設。市医師会に運営を委託している。同センターの米本博喜事務長は「指摘を真摯(しんし)に受け止め、できるだけ早く是正したい」と話す。
市医師会の丹野尚昭会長は「是正勧告は大変不名誉なこと」とする一方、「職員の給与や退職金は市が決めており、医師会が見直しを求めても聞き入れられなかった」と説明している。
(5月12日 河北新聞)
労働法ニュース : シルバー人材センターの登録者 労働時間上限を緩和へ
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シルバー人材センターを通じて働く高齢者について、週20時間までしか働けない規制を年内にも緩和する方向で、厚生労働省が検討を始めた。年々増える高齢者に働きやすい環境を整え、人手不足のなか活用したいという自治体などの要望にも応える。
人材センターに登録する人は、65歳以上の労働力人口の1割に相当する。高齢者の大きな受け皿になっているため、これを30〜35時間程度まで広げる方向だ。
厚労省の生涯現役社会の実現に向けた検討会で、8日示された報告書の素案に盛り込まれた。65歳の定年後も働き続けたいという人は多い。あわせて、65歳以上にも雇用保険を適用することや、高齢者を雇う企業への支援の充実策も検討していく。
人材センターで登録した会員に紹介する仕事は、駐車場の管理から介護の補助まで幅広いが、短期的で簡単な作業しかできない。現役世代の雇用に配慮し、民間企業を圧迫しないようにとの考えから、原則として労働時間は週20時間、労働日数は月10日を超えないよう、厚労省が通達に基づき指導しているためだ。
こうした規制から利用しにくいという高齢者もいて、会員数はこのところ減少傾向だ。一方で介護や農作業などの現場は、賃金水準が低く若い人材が集まりにくい。高齢者をもっと活用したいという自治体などの要望が高まっていたが、規制が「壁」になっていた。全国の人材センターへの調査では、約6割が就労時間や業務内容の条件の緩和や撤廃を求めている。
(5月9日 朝日新聞)
未払い賃金 : 外国人技能実習制度 賃金不払いなど不正が241機関
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途上国の労働者を実習生として受け入れる「外国人技能実習制度」で、実習生に対して賃金不払いなどの不正を行った受け入れ団体や実習先が昨年1年間で計241機関(前年比11機関増)だったことが、法務省のまとめで分かった。制度が現在の仕組みになった2010年以降4年連続の増加。労働力不足を補う低賃金労働者として受け入れる実習先が、依然として少なくない実態が浮かぶ。
法務省入国管理局によると、不正が確認された機関のうち、受け入れ団体は22事業協同組合と1農協の計23機関。受け入れ団体から実習生を受け入れる実習先が218機関だった。業種別では、農業・漁業(88機関)と繊維・衣服(76機関)が合わせて約75%を占めた。一方、食品製造、建設、機械・金属はいずれも十数機関で、比較的少なかった。
不正行為の総件数は350件(前年比16件減)。最多は賃金不払いで全体の4割にあたる142件。3年間で400万円近い不払いがあったケースもあったという。他は講習期間中の労働74件、技能実習を計画通り行わない32件などと続いた。
また、受け入れ団体の職員が勝手に実習生名義の銀行口座を開設し、通帳や印鑑、キャッシュカードを保管したり、実習先が実習生から預かった貯蓄金をきちんと返還しなかったりした事例もあった。
政府は、受け入れ先を指導する新たな監督機関の設置や、実習生への人権侵害行為に対し罰則を設けることなどを柱とする技能実習制度の適正化法案を今国会に提出している。
一方、実習先から失踪し、行方不明になる実習生の数も増加傾向にある。実習先などからの報告を入国管理局が集計したところ、昨年は4851人で、10年の1282人から3倍以上になった。低賃金など実習先の待遇の悪さから、より好待遇の仕事を求めるケースが多いとみられるが、不法就労や不法滞在の状態になっている可能性が高く、同局が実態調査を進めている。
(5月5日 毎日新聞)