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労働法ニュース : 働けど生活保護に及ばぬ最低賃金…12都道府県
2010年度の地域別最低賃金を労使代表が議論する「中央最低賃金審議会」の小委員会が14日開かれ、席上、厚生労働省が、最低賃金で働くより生活保護を受けた方が高収入となる「逆転現象」が起きている地域が12都道府県に上ったとする調査結果を公表した。
厚労省によると、各都道府県が決めている最低時給が、その地域で1か月に支給される生活保護費を一定の方法で換算した時給より低かった自治体は、
- 北海道
- 青森
- 宮城
- 秋田
- 埼玉
- 千葉
- 東京
- 神奈川
- 京都
- 大阪
- 兵庫
- 広島
の12都道府県。
このうち、差額が最も大きかったのは神奈川県の47円だった。
最低賃金法は、逆転現象の解消を目標にしており、昨年度は45都道府県で最低賃金が引き上げられ、生活保護の時給換算額を下回ったのは10都道府県に縮小していた。現行の最低賃金は全国平均が時給713円だが、この日の小委員会で経営側は「景気が先行き不透明。大幅引き上げは困難」との見方を示した。
(7月14日 読売新聞)
労働法ニュース : 明治学院大職員の解雇無効 問題行為「重大性なし」
明治学院大の元男性職員が、不適切な窓口対応などを理由に解雇されたのは不当として、大学側に地位確認や解雇以降の賃金支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は12日、「問題行為」を認めた上で「態様や業務への支障の程度は、大学から排除しなければならないほど重大とは言い難い」と請求を全面的に認めた。
青野洋士裁判官は、不適切な窓口対応や、(1)職員に業務指示と受け取られる形で映画観賞を勧めた(2)入試業務説明会で居眠りしたり、試験当日に受験生用のいすに座ったりした―など計14の問題行為を認め「職員としての問題は小さくない」と指摘。
一方で、解雇に関して「担当業務の変更、縮小に準じるやむを得ない事情がある場合」などと定めた大学側の就業規則にはいずれも該当しないと判断した。
判決によると、2006年10月採用された。その後、2度にわたって異動したが「十分に業務を遂行できない」として昨年2月に解雇された。
(7月12日 共同通信)
労働法ニュース : 奈良の県立2病院、時間外労働の疑い 労基署が書類送検
奈良、大淀労働基準監督署は、奈良県立奈良病院(奈良市)と同県立五條病院(同県五條市)が労使協定を結ばずに医師らに時間外労働をさせていたとして、労働基準法違反の疑いで奈良地検に書類送検した。
両病院はいずれも、5月に書類送検された。法定労働時間を超す時間外労働については、労使間で労基法36条に基づく協定の締結と労基署への届け出が義務づけられている。しかし、両病院は開業以来30年以上にわたり、協定を結んでいなかったという。
県によると、両病院は2002〜05年、労基署から協定の未締結について是正勧告を受け、労組側と協議を続けてきた。しかし折り合いがつかず、協定を結ばないまま医師や看護師ら計710人に時間外労働をさせていたという。
(7月9日 asahicom)
労働法ニュース : 添乗員みなし労働は妥当 阪急トラベルサポートに逆の司法判断
阪急トラベルサポート(HTS、大阪市)から「事業場外みなし労働制」の適用を理由に残業代を支給されなかったとして、派遣添乗員の女性が計約44万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は2日、みなし労働制の適用を妥当と判断した上で約24万円の支払いを命じた。
1日のみなし労働時間をHTS側の主張と同じく11時間と認定!
【24万円の内訳】
- 労働基準法に基づき8時間を上回る3時間分
- 休日労働については時間外の割増賃金計約12万円
- 同額の付加金
事業場外みなし労働制は労働基準法で定められ、会社の指揮・監督が及ばず、労働時間の算定が困難な場合に一定時間働いたとみなされる。HTSをめぐっては5月に、別の添乗員の訴訟で東京地裁の別の裁判官が適用を否定する判決を出しており、判断が分かれる形となった。
(7月2日 共同通信)
労働法ニュース : 雇用継続「期待権」認定 「雇い止めは解雇権乱用」大阪高裁
京都府向日市の倉庫会社を60歳で定年退職後、同社に再雇用された大津市の男性(62)が、1年での雇用打ち切りを不服とし、同社に対し賃金の仮払いなどを求めた仮処分申請の抗告審で、大阪高裁は再雇用継続に対する男性の「期待権」を認め、仮払いを命じる決定を25日付で出した。
65歳までの雇用確保を義務付けた改正高齢者雇用安定法(06年施行)を踏まえ、前坂光雄裁判長は「男性が雇用継続を期待することには合理性があり、雇い止めは解雇権の乱用に当たる」と判断した。29日に会見した男性の代理人の渡辺輝人弁護士によると、再雇用後の雇い止めを巡る争いで、雇用継続への期待権を認めた司法判断は全国で初めて。
決定などによると、男性は67年、親会社に就職し、08年6月の定年まで子会社の倉庫会社で働いた。同社は同年、同法に基づき64歳までの再雇用制度を導入。男性も1年ごとに契約を更新する前提で再雇用されたが、09年6月、業績不振を理由に打ち切られた。
高裁は、男性以外の被再雇用者の契約は更新されたことなどから「会社は雇用継続の努力を尽くしていない」と指摘。男性が定年まで勤め上げたことも考慮し、打ち切りは不適当と判断した。男性は京都地裁への仮処分申請が却下され、抗告していた。
(6月30日 毎日新聞)