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労働法ニュース : 工場の全従業員240人、予告から1日で解雇
繊維加工業の「ケイエッチ」(本社・東京)が、7月末で山形県鶴岡市内の2工場を操業停止とし、計240人の従業員全員を解雇していたことが11日わかった。
鶴岡公共職業安定所によると、従業員が解雇予告されたのは7月30日で、同31日付で解雇された。労働基準法は、解雇予告から実際の解雇までの期間が30日未満の場合、解雇予告手当の支払いを定めており、今回は平均賃金のほぼ1か月分に相当するが、10日現在、すべて未払いという。
庄内労働基準監督署は、現状が改善されない場合、同社を労働基準法違反(解雇予告手当の不払い)の疑いで行政指導する方針。
同安定所によると、同社の工場は、鶴岡市日出と西荒屋の2か所にあり、女性服の縫製などを行っていた。福島県相馬市の工場も閉鎖し、150人の従業員を解雇したという。
同安定所の菅野恵次所長は「これだけ多くの従業員を一度に解雇するのは異例で急すぎる」とし、ほかの縫製業への就職相談や面接会などを計画している。
(8月12日 読売新聞)
労働法ニュース : 神奈川県、フレックスタイム実施へ…都道府県初
神奈川県の松沢成文知事は3日の定例記者会見で、午前7時出勤も認める「県庁版フレックスタイム」を9月から実施すると発表した。
都道府県初の試みといい、知事は「勤務時間を意識して働くことにより、業務の効率化を図りたい」としている。
出社、退社時間を自由に決められる労働基準法上のフレックスタイム制は地方公務員に適用されないが、1か月単位で勤務形態を定める変形労働時間制は認められている。
県庁版フレックスタイムは、現行の午前8時半―午後5時15分勤務に加え、早出の午前7時、同7時半、同8時出勤と、遅出の同9時、同9時半、同10時出勤の6パターンを用意。職員の申し出に基づき、課長クラスが課内の業務を勘案し、1か月単位で時差出勤を認める。7時間45分の勤務時間は変わらないが、終業時間は、午前7時出勤で午後3時45分、午前10時出勤で午後6時45分と、最大で3時間の開きが出る。
県は、5〜6月に職員189人で試験実施した。
- 「出勤時の混雑を避けられた」
- 「早く出勤し業務に集中できる時間が増えた」
- 「家族との時間が持てるようになった」
など継続を望む声が多く、本格導入することになった。
知事は記者会見で「県民サービスに影響を及ぼさないことが大前提。ワーク・ライフ・バランスの充実で、より創造的な県政運営に生かしてほしい」と期待を込めた。
(8月4日 読売新聞)
労働法ニュース : アスベスト外壁に法定基準の12倍 安全衛生法違反是正勧告 住金和歌山製鉄所
住友金属工業和歌山製鉄所(和歌山市)でコークス炉の外壁に使われた断熱材用の粉末に、法定基準の12倍のアスベスト(石綿)が含まれていたことが27日、同社への取材で分かった。中国から輸入され、石綿が含まれているとの認識はなく、周辺住民を含めた健康被害の可能性はないとして公表しなかったという。和歌山労働基準監督署は、アスベストを下請け業者に使わせたことが労働安全衛生法違反に当たるなどとして、同製鉄所など5社に是正勧告した。
同製鉄所などによると、含有率は国の基準値(0.1%)を上回る1.2%。07〜08年に住友商事(東京都中央区)が計15トンを輸入し、09年4月に下請け業者29人が粘土状にして炉の外壁に塗った。しかし、ひび割れが激しく、今年3月末までに別の作業員17人がはがした。ともに作業時は防じんマスクを着けていたという。
その後の成分検査で白石綿が含まれていることが判明。労基署は、作業空間を密閉しておらず、はがした断熱材の保管時の密閉も不十分だった点などについて是正を指導した。
(7月28日 毎日新聞)
労働法ニュース : バイク便も「労働者」認定 中労委、会社に交渉命令
中労委は15日、会社と請負契約を結んでバイクや自転車で書類などを運ぶ運転手は労働組合法上の「労働者」に当たると認定し、バイク便大手「ソクハイ」(東京)に対し、労働組合との団体交渉に応じることなどを命じる救済命令を出した。
命令書によると、都内の営業所長を務めていた男性が2007年に組合を結成して団交を要求したが、ソクハイは拒否。東京都労働委員会が昨年6月、団交に応じるよう命じ、同社が再審査を申し立てていた。
中労委は「会社から独立して配送業務の依頼を受けているのではなく、会社に不可欠な労働力を恒常的に供給する者として、会社の事業に強く組み込まれている」と判断した。
ソクハイは「担当者がいないので対応できない」としている。
厚生労働省は07年、バイク便運転手が個人請負の形で契約しているのは労働実態に合っていないとして、各社に契約を見直して直接雇用するよう指導する通達を出している。
(7月15日 共同通信)
労働法ニュース : 国税寮業務の残業未払いと提訴へ 「偽装請負で長時間労働」
東京国税局の単身者寮の管理業務をめぐり、委託先の民間業者を介さずに国税局から直接指示を受ける「偽装請負」の形で違法に長時間労働を強いられたとして、元管理人の男性(74)が14日、国と業者に残業代約900万円の支払いを求めて東京地裁に提訴することが分かった。
原告側によると、男性はさいたま市の施設管理業者との契約に基づき、2007年4月〜09年3月にかけ、埼玉県や東京都の単身者寮で勤務。大半は月に一度も休みが取れず、仕事の指示も会社ではなく国税局側から受けたと主張。
08年11月に労働組合が結成された後は労働環境がやや改善されたが、約2年分の残業代は未払いのままになっているとしている。男性は09年に別の会社へ移って業務を続け、今春退職した。
原告側代理人の指宿昭一弁護士は「労働法規を守らせる立場の国が労働者に残業代も支払わず、休みなしの長時間労働を強いたのは問題だ。訴訟を通じて責任を問う」としている。
(7月14日 共同通信)