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労災ニュース : 業務委託 シルバー人材派遣にも労災認定 作業中負傷の男性勝訴
シルバー人材センターに登録し、兵庫県加西市の工場で作業中にけがをした男性(66)が、労災認定を求めた訴訟の判決で、神戸地裁は17日、男性が労災保険法の適用される「労働者」に当たると判断。労災と認めなかった西脇労働基準監督署の決定を取り消した。
原告の代理人弁護士によると、就業先と雇用関係のないセンターの登録者を労働者と認める判決は異例で「同じような立場の登録者が事故に遭った場合、労災申請を促す理由になる」と評価している。
矢尾和子裁判長は判決理由で、労働者に当たるかどうかは雇用契約がない場合でも個別の勤務実態で判断される、との立場を示した上で、男性のケースについて検討。「残業して納期に対応するなど、工場の指揮命令に従って勤務していた」と認めた。
男性はセンターの業務委託で定年退職前と同じ会社の工場に勤務。2005年5月にプレス機に手をはさまれ負傷した。
(9月17日 共同通信)
労災ニュース : 「重圧でうつ病自殺」と労災認定 神戸地裁
川崎重工業神戸工場のグループ長だった男性当時(55)がうつ病で自殺したのは仕事が原因として、妻が遺族補償給付金などの不支給処分取り消しを求めた訴訟の判決が3日、神戸地裁であった。矢尾和子裁判長は、男性が仕事で大きな重圧を受けていたとして労災を認め、神戸東労働基準監督署の処分を取り消した。
妻側の弁護士は「立場の重圧を評価した判決は珍しい」としている。
判決は「残業時間からは、直ちに業務が過重だったと認められない」とした上で、当時の男性の立場に言及。1件も受注できない中で450億円の大きな商談を任され、「失敗すれば自らの存在価値も問われかねない状況だった」と指摘した。 結局商談はまとまらず、男性の部署は社内で「金食い虫」と厳しい指摘を受けた。判決は「業務による心理的負荷が強かった。自殺は、業務に内在する危険が現実化した」と結論付けた。
判決によると、男性は1971年に入社。いったん退職したが97年に再入社し、グループ長を務めていた。2000年12月にうつ病と診断され、02年5月に自宅で首をつって死亡した。
(9月3日 時事通信)
労災ニュース : 労災 障害等級認定低すぎ違法 甲府地裁
仕事中の事故で両腕などに障害を負った山梨県中央市の米山栄さん(71)が、障害等級の認定が低すぎるとして甲府労働基準監督署の障害補償給付決定取り消しなどを求めた訴訟で、甲府地裁の林正宏裁判長は31日、請求を認めて決定を取り消す判決を言い渡した。
林裁判長は「原告は文字を書くのも著しく困難な状態にあり、軽作業のみが可能。障害等級の認定基準では第7級に当たる」と述べ、第9級に当たるとした労基署の決定を違法とした。
判決によると、米山さんは電機会社で電線の製造加工を担当していた1995年4月、電線の切断作業中に倒れてきた重さ約600キロの台を両手で支え、障害を負った。
2005年に同労基署が労災保険法に基づく障害補償給付を決定。米山さんは障害等級が低いとして審査や再審査を請求したが棄却され、08年8月に提訴した。
厚生労働省によると、障害等級第9級では一時金が支払われるだけだが、第7級からは年金が支給される。
(8月31日 共同通信)
労災ニュース : NTT社員の過労死巡る訴訟、2審も国敗訴
NTT東日本の社員だった北海道旭川市の奥村喜勝さん(当時58歳)が心臓病で急死したのは、長期の宿泊研修を強いられた過労が原因などとして、遺族が国に対し、労災による補償の不支給決定の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が10日、札幌高裁であった。
井上哲男裁判長は、処分の取り消しを命じた1審・札幌地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却した。
奥村さんは心臓に持病があったが、担当業務の変更に伴う宿泊研修を2か月以上受けるよう命じられ、研修先から一時帰宅していた2002年6月、心臓病で急死した。
遺族は03年3月、旭川労働基準監督署に労災認定を申請したが、
監督署側は残業などの長時間労働がないことを理由に認定しなかった。
1審判決では、「研修の負担や異動の可能性への不安が肉体的、精神的ストレスとなり、死につながった」として死亡と業務との因果関係を認定。控訴審判決でも国側の主張を退けた。
奥村さんの死を巡っては、遺族が03年に、同社に損害賠償を求めて提訴。同社に約1660万円の賠償を命じた判決が確定している。
(8月10日 読売新聞)
労災ニュース : 尼崎JR脱線事故 死亡運転士の労災認める
2005年4月の尼崎JR脱線事故で、脱線した電車を運転していて死亡したJR西日本の高見隆二郎運転士=当時(23)=の遺族が、天満労働基準監督署(大阪市)に申請していた労災が7月下旬までに認められたことが9日、関係者への取材で分かった。労基署は業務上の理由で死亡した労災と判断したもようだ。
労災の請求時効(5年)を前にした今年2月、遺族がJR西から勤務中の事故と認める証明書を取得し申請していた。
会社に法令違反などの重大な過失があると判断した場合、労基署は遺族への給付額の最大3割を会社側からペナルティーとして徴収できるが、今回はJR西が組織としての法的責任を否定しており、事故の背景に指摘されている懲罰的な日勤教育や過密なダイヤを重大な過失と判断するのは困難とみられる。
高見運転士は08年9月、業務上過失致死傷容疑で書類送検され、09年7月、死亡により不起訴となった。
(8月9日 共同通信)