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労働法ニュース : 過労自殺 月200時間所定外の36協定を是正しなかったのは「国の責任」
2008年に過労自殺し、労災と認められた石油プラント会社「新興プランテック」(横浜市)の男性社員(当時24)の遺族が22日、月200時間までの時間外労働を認めた労使間の協定を是正しなかったのは「行政の怠慢」として、国に約1億3千万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴しました。うち約1億2500万円については、会社の連帯責任としています。
訴状によると、男性は07年4月に入社。約2週間の研修後、千葉事業所の現場監督になったが、長時間労働のストレスから強迫性障害と診断され、08年11月に自宅で練炭自殺しました。
新興プランテックは労使間で月200時間まで時間外労働を認める協定を結び、千葉労働基準監督署も受理。男性の時間外労働は08年3〜7月で最短でも月94時間、最長で218時間に上ったとの事。
東京・霞が関の司法記者クラブで会見した川人弁護士は「突出した時間外労働なのに、適切な指導監督をせずに漫然と放置した行政の責任は重い」と批判した。また、過労自殺をめぐり、国の監督責任を正面から問う訴訟は全国で初めてとの事。
(2月22日 ニュース)
労働法ニュース : 労働契約と認めないが、「内々定取り消し」は会社の不法行為と認定 賠償命令 福岡
不動産会社コーセーアールイー(福岡市中央区)が採用の内々定を一方的に取り消したのは違法として、30代の男性が同社に約115万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は16日、一審福岡地裁判決に続き会社側の責任を認め、賠償を命じた。賠償額は一審の85万円から22万円に変更した。
判決理由で広田民生裁判長は「事前連絡や経緯の説明に不十分なところがあったと認めざるを得ない」と指摘し、同社の不法行為と認定。一方で「内々定の撤回には企業経営上の相当な理由はあった」と述べた。
訴訟の焦点だった内々定が労働契約の成立に当たるかの判断については
「内々定は内定と明らかに性質が違い、企業が新卒者を囲い込んで他の企業に流れるのを防ごうとする活動の域を出るものではない」として、一審同様に労働契約とは認めなかった。
原告代理人の光永享央弁護士は「一審に引き続き不法行為と認められた点は納得できるが、大幅な減額は残念。個人的には最高裁の判断を聞いてみたい」と話した。
控訴審判決によると、男性は大学4年だった2008年7月に内々定を通知され、入社承諾書を提出し就職活動を終了したが、内定式直前の同9月、世界的金融危機など経営環境の悪化を理由に内々定を取り消された。同社からはその後、具体的な説明はなかった。
(2月16日 時事通信)
労働法ニュース : 労働組合幹部の業務外しは不当労働行為、東京都労働委員会が復帰命令
東京都労働委員会は4日、阪急交通社の子会社「阪急トラベルサポート」(大阪市)が、労働組合幹部の男性を添乗業務から外したのは不当労働行為だとして、男性を添乗業務に戻し、復帰までの賃金相当額(月額約36万円)を支払うよう命じた。
都労委によると、ツアーなどの添乗員を派遣する同社は2010年3月、労組委員長だった男性を添乗業務から外したが、都労委は、添乗員の残業代などを巡り対立していた組合の弱体化を狙った支配介入だと判断した。男性は「一日も早く復帰したい」と話した。
(2月5日 読売新聞)
労働法ニュース : 委任販売員も労働者扱い 「蛇の目ミシン工業」 未払い賃金支払い是正勧告
家庭用ミシン大手の「蛇の目ミシン工業」(東京都八王子市)が委任販売員に労働基準法に基づく賃金を支給していないとして、八王子労働基準監督署は31日、申告者3人の未払い賃金を払うよう是正勧告を出した。
労基署は伊藤さんらが記録していた労働時間を基に最低賃金相当の保証給や有給休暇分の給与を支払うよう勧告。併せて全委任販売員の実態調査をするよう指導した。
同社は「委任販売員は個人事業主で労働者ではなく、雇用関係もない」と主張していたが、労基署は労働者と認め、同社に全社的な調査を促した。同様の販売手法が広がる中、他の業界にも影響しそうだ。
申告していたのは、「派遣ユニオン 蛇の目ミシン支部」の伊藤彰俊さん(46)ら。伊藤さんによると、セールス業務をする同社の委任販売員の給与は完全歩合制で、雇用保険や社会保険は適用されず、有給休暇や残業代も認められない。伊藤さんの平均月収は10万円程度で、ガソリン代など業務に要する経費を除くと手元には5万円程度しか残らない。
伊藤さんは08年3月、賃金未払いなどについて同労基署に申告したが、「労働者性を確認できない」として指導を見送られたため、ユニオンを結成し、10年2月に2回目の申告をした。
(2月1日 毎日新聞)
労働法ニュース : プロ野球西武・前大久保コーチが「解雇無効」を求め球団を提訴
若手選手に対する暴力行為があったとして昨年7月、プロ野球・西武を解雇された大久保博元前2軍打撃コーチ(43)が27日、球団を相手取り、解雇の無効確認と未払い報酬など計2126万3000円の支払いを求め、東京地裁に提訴した。
大久保前コーチ側は、暴力とされた行為についてコーチとして正当な業務であるとし、解雇に際して弁明の機会が与えられなかったことも不当であると主張している。球団側は「提訴が事実であれば断固、闘っていく」とコメント。
(1月28日 毎日新聞)