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社会保険ニュース : 最低保障年金実現に消費税3.5%増が必要 民主党案を試算
民主党が掲げる新年金制度に完全移行すると、消費税で3.5%分の増税が必要なことがわかった。民主党案をもとに、厚生労働省が2055年度時点の必要財源を試算。菅政権の消費増税と社会保障の一体改革への反映を目指すが、制度設計は遅れている。
新制度案は、満額で月額7万円の最低保障年金と所得に応じた保険料による所得比例年金を組み合わせる。
最低保障年金は
⇒平均年収が300万円の人から減額し、600万円を超えると支給されなくなる案を提示
⇒夫婦2人の世帯では、平均年収の合計が1200万円超になると支給されない。
【例】平均年収520万円の夫と専業主婦の世帯の場合
老後の年金額は年収の59%で、現行制度より1割程度増える。
夫婦の合計年収が増えるほど年金は目減りするため、「中高所得層の多くは現行より減る」(厚労省幹部)という。
新制度は、15年度に移行を始めて40年間かけて完了する。この案で厚労省が財源規模を試算したところ、55年度には38兆7千億円が必要になる。現行の基礎年金を続けた場合より、11兆7千億円増える計算だ。55年度時点の消費税率に換算して2.5%分。これに、現行の基礎年金の国庫負担5割を維持するための1%分を合わせると、3.5%の消費増税が迫られる。
調査会では、支給範囲などをめぐり異論が続出し、厚労省に別の案での再試算を指示した。新制度の本格的な設計は6月に先送りされる見通しで、一体改革では現行制度の見直しの議論が先行することになる。
(5月18日 ニュース)
社会保険ニュース : 【続報】専業主婦3号から1号への切替漏れ問題 主婦年金未納 過払い分返還か減額
民主党は10日の厚生労働部門会議で、夫が会社を辞めて厚生年金を脱退したにもかかわらず、国民年金の切り替えを忘れ、保険料が未納になっている専業主婦らの年金問題に関する対処方針を決めた。週内にも細川律夫厚生労働相に提案し、政府は今国会に関連法案の提出を目指している。
● すでに年金を受給している人でも、未納記録を訂正せず、年金を本来の受給額より多く受け取った『過払い分の返還』
● 新たに支給する年金は、『減額』
⇒時効になっていない過去5年に支給された年金
【方法】
⇒過払い分を今後受け取る年金から減額するか、一括返還も認める。
ただし、住民税が非課税の低所得者(一人暮らしで年金収入が年155万円未満)は返還対象から除外。これにより、9割近い人は返還の対象にならないとしている。返還を求める場合も、年金額から10%を超えない範囲と限度額を設けた。
● 未納保険料の追納期間を直近10年間を基本とすることにした。
● 保険料を支払えない期間は、その分、年金支給額を減額するものの、受給資格(加入期間25年)に算入できる特例を講じるとした。
(5月11日 ニュース)
社会保険ニュース : 公的年金未納広がる 2010年度国民年金納付率は最低に 厚生年金未納額過去最大に
公的年金の保険料を納めない個人や企業が増えている。2010 年度の国民年金の納付率は2月末までの累計で58.2%にとどまり、過去最低の更新は確実。会社員が加入する厚生年金では未納額が過去最大になる見通し。厚労省は滞納事業主の年金給付を制限するなど対策の検討に入ったが、年金制度の維持には抜本改革が避けて通れない。
● 低所得も理由
国民年金の保険料納付率は09年度に60.0%と過去最低更新。10年度は年度全体で、09年度を下回る公算が大きい。また、低所得を理由に保険料納付を免除される人が増えている。
第1号被保険者のうち、保険料を全額免除されている人の割合は2月末で28.3%
⇒過去最高だった09年度を上回るペースで、8年連続の増加になりそうだ。
納付率は免除者が増えるとかさ上げされることがある。このため厚労省は納付実態をより的確に示す指標として、免除分を分母に加えた「実質納付率」を毎年1回算出している。実質納付率は06年度に50%を割ってから下がり続け、09年度に43.4%まで低下した。10年度は 40%の大台割れも視野に。
負担の空洞化は会社員が加入する厚生年金でも進んでおり、世界同時不況があった08年度から納付率はじわじわ低下。10年度の納付率は1月末時点で97.1%と 1966年度(96.9%)以来の低水準。
● 背景に制度不信
未納分の総額は5442億円と4年連続の増加が確実。日本年金機構は「年度末に駆け込みで納める企業も多い」と説明するが、未納額は過去最大だった01年度(4330億円)を1000億円強も上回る。
未納が増えると年金財政が悪化し、将来的には給付水準の低下や、保険料率の引き上げにもつながりかねない。
厚労省は
⇒悪質な事業主を対象に、保険料を滞納した期間に応じて年金給付を制限したり、事業所名を公表したりすることを検討。
⇒国民年金でも財産を差し押さえる強制徴収を強化する方針。
また政府が6月末までに成案をまとめる社会保障と税の一体改革では、厚生年金加入を義務付ける非正規労働者の対象を今よりも拡大することで、若い世代の納付率引き上げを図る方向。
若年層の未納の背景(根本)には今の年金制度に対する不信があるからだ。
(5月9日 ニュース)
社会保険ニュース : 介護保険料納付対象者 40歳未満に拡大 厚労省検討 早ければ2013年度導入
厚労省は、政府が進めている「税と社会保障の一体改革」で、介護保険料を納付する対象者を40歳未満に広げる案を提示する方針。高齢化で介護の給付費は増え続ける見通しで、保険料を負担する人の裾野を広げ、介護保険の財政基盤を強化する狙い。早ければ2013年度にも導入を検討。
(5月4日 ニュース)
社会保険ニュース : 【続報】専業主婦3号から1号への切替漏れ年金問題 追納は過去10年分限定 厚労省救済案
夫の退職時に年金の変更届を出さなかった主婦の年金問題(3号から1号へ切り替え漏れ)で、厚労省の救済案が固まった。
- 保険料をさかのぼって払える期間は「直近10年分」に限定。
- 受給者には過払い分の返還を求める。
今国会に救済のための法案を提出し、2年後の実施をめざす。
この問題では、記録訂正後の未納分について、どこまで保険料の追納を認めるかが焦点となっている。追納できる期間は、現行法で直近2年の規定を10年に延ばす別の法案が参院で継続審議中のため、主婦年金も10年前までに限る方向。10年分の保険料は約180万円になる。
- 記録を訂正すると未納扱いになる期間でも、年金の加入期間には認める。
- 追納しても未納分が残れば、老後に受け取る年金を減額する。
- すでに誤った記録に基づいて過払いされた分については返還を求める。
⇒保険料の追納は、2013年度〜3年間に限って認める方針。
⇒年金減額や返還は、その3年間が終わった時点で始まるため、早くても2016年度から。
ただ、追納を直近10年分に限るため、10年以上前の未納分は救済されない。例えば、夫が5年前に再就職して再び主婦年金に入っている人にとっては、最長で5年分しか追納できない。
これに対し、自民党案は「主婦年金が導入された1986年以降の全期間を追納できるようにすべきだ」(幹部)という内容。この場合、追納に充てる資金が多い人ほど救済されるという課題も生じる。
こうした中で民主党は、主婦年金が導入された86年以降、どの時点の未納でも10年間分まで追納を認める案を検討。複数の未納期間が点在する場合も、合計10年分までは可能とする。
過払い分の返還も野党には慎重論が強いため、民主党案では年金暮らしの高齢者に配慮し、住民税非課税の受給者は対象外にする。毎月の支給額から天引きして返還させる際には、上限を年金額の1割とする。民主党は、こうした案を国会での修正協議の材料とする考え。
(5月4日 ニュース)