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労災ニュース : 長時間労働でのうつ病、自殺 遺族がヤマダ電機を提訴
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家電量販店大手「ヤマダ電機」(本社・群馬県高崎市)の店舗に勤めていた男性社員(当時23歳)が自殺したのは、長時間労働でうつ病になったためとして、男性の遺族が11日、同社に対し約1億2000万円の損害賠償を求め、前橋地裁高崎支部に提訴した。
原告側弁護士によると、男性は新規開店予定だったテックランド柏崎店(新潟県柏崎市)で管理職のフロア長として勤務していた2007年9月19日、同市内の社宅で首つり自殺した。死亡までの1カ月間の時間外労働は約106時間で、男性は同月15日ごろまでにうつ病にかかっていたとして、長岡労働基準監督署(同県)が11年6月に労災認定した。
原告側は「長時間労働を認識しながらも休日に業務を命じるなどしており、安全配慮義務を怠った」と主張。同社側に資料の開示と話し合いでの解決を求めたが応じなかったため提訴したとしている。
(12月11日 毎日新聞)
労災ニュース : 過労自殺した女性社員の遺族がワタミ提訴・渡辺氏に懲罰的慰謝料 東京地裁
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居酒屋大手「和民」で働いていた森美菜さん(当時26歳)が過労自殺した問題で、森さんの両親が9日、和民を経営する「ワタミフードサービス」、親会社「ワタミ」、ワタミの社長だった渡辺美樹参院議員などを相手取り、約1億5300万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。
訴えたのは、父豪さん(65)と母祐子さん(59)。訴状などによると、美菜さんは入社3カ月後の2008年6月12日、神奈川県横須賀市のマンションから墜落して死亡した。当時、同市の「和民・京急久里浜駅前店」で働いており、残業は月約141時間と国の定めた「過労死ライン」(月80時間)を超えていた。残されたノートには「どうか助けてください」などと記されていたという。
12年2月に労災認定された後「なぜ娘が死んだのか」と会社側に説明と再発防止の話し合いを求めてきたが、実現しなかった。会社側が賠償額確定のため申し立てた調停の場でも、具体的な説明はなかったという。
原告側は会社だけでなく渡辺氏も被告とし、懲罰的慰謝料を含めて賠償請求額を算定した。代理人の玉木一成弁護士は記者会見で「労働条件や勤務体制などは、トップが対応しなければ変わらない。賠償金を払えば済むという考え方を改めるために必要だ」と説明した。豪さんは「若者を使いつぶすのではなく、育てる社会に変えていきたい」と語った。
ワタミは「和解のご提案をしてまいりましたが、誠に残念ではありますが合意に至ることができませんでした。訴状を確認のうえ、誠実に対応してまいります」とのコメントを出した。
渡辺氏は自身のフェイスブックに「司法の結論が出た時点で、私なりに誠心誠意の対応を致すことを約束します」と記載している。
(12月9日 毎日jp)
労災ニュース : 郵便局勤務の男性 自爆営業の職場「ストレス自殺」 遺族、日本郵便を提訴
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郵便局に勤務していた埼玉県東部の男性(当時51)が過重ストレスでうつ病になり自殺したとして、遺族らが5日、日本郵便を相手取り慰謝料など約8千万円の損害賠償を求める訴訟をさいたま地裁に起こした。同日、男性の妻(46)と弁護団が記者会見を開いた。
訴状や弁護団によると、男性は1982年から岩槻郵便局に勤務し、2006年にさいたま新都心郵便局に異動した。新都心郵便局では、配達ミスなどをすると朝礼で同僚数百人を前に反省を述べさせられる慣習があり、過重なストレスを受けていた。上司から罵声を浴びることもあったという。また、年間約6千〜9千枚の年賀状販売目標があり、達成するために「自爆営業」と称し、自ら買い取る者もいたという。
08年にうつ病と診断され、その後3回にわたり休業と復帰を繰り返したが、10年12月、業務中に新都心郵便局の4階から飛び降り、死亡した。
会見で弁護団は「恒常的なパワハラがあるような環境で、質量ともに、ストレスの多い職場だった」と指摘。妻は、「夫は薬を飲みながら働き、亡くなった。病気にならない、病気にさせない職場環境に近づいてほしいと思い訴えた」と述べた。
日本郵便は「亡くなられたことは非常に残念で、謹んでお悔やみ申し上げます。訴状が届いていないため、現時点でのコメントは控えさせていただきます」とコメントを出した。
(12月5日 朝日新聞)
労災ニュース : 遺族補償年金(労災) 男女差は違憲 制度見直し促す 大阪地裁
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男性より女性に手厚い遺族補償年金の規定が憲法に違反するかが争われた訴訟で、大阪地裁は25日、法の下の平等を定めた憲法14条に違反すると判断した。中垣内(なかがいと)健治裁判長は、共働き世帯が当たり前の今、専業主婦を想定して約50年前に設けられた男女格差の規定に合理性はないと指摘。地方公務員災害補償法(地公災法)の規定を根拠に堺市の元会社員(66)への遺族補償年金の不支給を決めた処分を取り消した。
遺族補償年金の男女格差を違憲とする司法判断は初めて。同じ規定は、民間労働者の遺族補償や厚生年金にもあり、判決は制度の見直しを促す内容となった。判決によると、元会社員は1998年に堺市立中学教諭の妻(当時51歳)を亡くした。妻は職務上の心理的ストレスからうつ病を発症して自殺し、地方公務員災害補償基金(東京)に公務災害と認められ、元会社員は遺族補償給付制度に基づく年金を申請した。
しかし、基金は、妻の死亡時に元会社員が51歳だったことを理由に、年金の不支給を決めた。地公災法32条の規定などで、夫を亡くした女性は年齢に関係なく年金をもらえるが、妻を亡くした男性の場合は
(1)妻の死亡時に55歳以上
(2)受給開始は60歳以上
という条件が付いているからだ。
女性は、夫の過去3カ月の平均給与の153〜245日分の年金が毎年、生涯にわたり支給される。一方、妻死亡時に54歳以下の男性は平均給与の1000日分の一時金の支給となる。判決はまず、この男女格差の規定について、終身雇用や年功序列で正社員の男性を処遇し、妻の多くが専業主婦だった67年に制定されたと言及した。そして、女性が就業するのが相当困難な時代の区別であり、「立法時には一定の合理性があった」とした。 しかし、こうした規定は「憲法に照らし不断に検討、吟味されなければならない」と指摘。共働き世帯が専業主婦世帯を上回り、女性より男性の完全失業率が高くなった他、母子家庭の8割以上が就業するなど、社会情勢が大きく変化しており、「性別のみで受給権の有無を分ける合理的な根拠はない」と認定した。
さらに、母子家庭を対象にした児童扶養手当が2010年8月から父子家庭にも支給されるなど、男女の差を解消する国の動きも挙げた。
そして、「男性と比べて依然不利な状況だが、女性の社会進出が進み、共働き世帯が一般的な家庭モデルとなった今日、地公災法32条の規定は不合理な差別的扱いとして、違憲・無効と言わざるを得ない」と結論付けた。
国の社会保障制度の男女格差を巡っては、顔に傷を負った場合の障害補償給付(労災保険)が男性より女性に手厚いことが差別に当たるかが争われた訴訟で、京都地裁が10年5月に違憲判決を出した。国は11年2月、労働者災害補償保険法施行規則を改正し、この格差を見直した。
(11月25日 毎日jp)
労災ニュース : 石綿(アスベス)ト労災 裁判中に一転、労災認定 神戸東労基署
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神戸港で約34年間、アスベスト(石綿)を扱う仕事を続け、2001年に肺がんで死亡した男性(当時54)の妻が出した労災申請が神戸東労働基準監督署にいったん退けられた後、一転して認定されていたことが分かった。今月15日付。
妻から労災として特別遺族給付金の請求を受けた同労基署は10年1月、がんの発症と石綿の因果関係が認められないとして不支給処分を決定。妻はこれを不服とし同9月、国を相手に不支給決定取り消し訴訟を神戸地裁に起こしており、裁判が続く中での異例の認定となった。妻は裁判を取り下げる方針。
裁判で問題となったのは、石綿繊維が原因で肺にできる「石綿小体」の数値。国の労災基準は「肺1グラムから石綿小体が5千本以上」で、下回る場合は作業内容や暴露歴から総合的に判断するとしているが、男性は2551本だった。
原告側によると近年、石綿小体の数値が基準以下でも労災と認める判決が相次ぎ、「基準は合理性がない」と指摘した例もあったという。同労基署は今回の決定について「裁判の証拠などから男性が高濃度の石綿に暴露していると推認できたため」としている。
(11月25日 朝日新聞)