アスベスト被害 国の賠償責任認める初判決 最高裁
以下、引用です。
アスベスト(石綿)紡織工場(大阪・泉南地域)の元従業員と遺族計89人が、国の安全規制の遅れで肺がんや石綿肺などを発症したとして、計約12億円の国家賠償を求めた2件の訴訟の上告審判決が9日、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)であった。
判決は「石綿の危険性が明らかになった1958年以降、事業者に排気装置の設置を71年まで義務づけなかったのは著しく合理性を欠き、違法だ」と国の不作為を指摘し、原告82人に対する国の賠償責任を認めた。
5人の裁判官全員一致の意見。国の認定分だけで死者1万2000人を超える石綿被害を巡り、最高裁が初めて国の責任を認めた。生命を脅かす重大な被害が生じかねない場合には規制の遅れを許さないという、最高裁の厳格な姿勢が示された形となった。
両訴訟は、2審・大阪高裁で原告の勝訴と敗訴に結論が分かれていた。今回の統一判断により、原告89人のうち2審勝訴の54人は国の上告が棄却され、約3億3200万円の賠償が確定。別の28人は2審敗訴が破棄され、勝訴を前提に賠償額の計算のため高裁に審理が差し戻された。残る7人は、71年より後に就労した元従業員の遺族であるため請求が棄却された。
訴訟では労働者の健康被害を防ぐため、国がいつ、どのような規制をすべきだったかが争点となった。
判決はまず、労働者に健康被害の可能性がある場合、国は適切な時期に必要な規制をしなければならないとした「筑豊じん肺訴訟」の2004年の最高裁判決の判断基準に沿って検討。「1958年頃には旧労働省の調査で、石綿による健康被害が相当深刻だと判明していた」と認定。
(10月10日 YOMIURI ONLINE)
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