老齢年金給付水準 30年後に2割減 経済成長見込んでも
以下、引用です。
公的年金を持続させるには、経済成長を見込んでも、給付水準を少しずつ下げ、30年後には今より2割ほど低くしなければならない。厚労省は3日、そんな年金財政の見通しを公表した。現役世代の収入の50%以上という政府が約束した給付水準はぎりぎり守れるとした。だが一方、低成長なら5割を割る試算も示され、目減りする年金に対応した制度見直しの必要性が浮き彫りとなった。
検証は、100年先までの年金財政の見通しを5年ごとに点検するものだ。ポイントは将来も十分な年金がもらえるのかどうか。インフレなどが進んだ場合、年金額そのものでは比べられない。だから現役世代の手取り収入と、モデル夫婦(厚生年金に入る会社員と専業主婦)が65歳の受給開始時にもらえる年金額を比べた割合で、チェックする。
厚労省は今回、賃金の伸び率など経済状況が異なる八つのシナリオを置いた。シナリオA〜Eの五つは、女性や高齢者の働き手が増える「高成長ケース」。F〜Hの三つは「低成長ケース」だ。
検証によると、現在のモデル夫婦の給付水準は、現役手取りの62・7%(共済年金との一元化を見込む)。財政を保つには「高成長ケース」でも2043〜44年には年金水準が50・6〜51・0%になり、2割ほど下がる。ただ、高成長ケースは前提が甘いのではという指摘は、社会保障審議会年金部会でも出た。
「低成長ケース」では、いずれも5割を切った。近年の経済状況が長く続くと見込むシナリオFでも、50年度に45・7%まで落ち込むとの結果だ。最も悲観的なシナリオHでは、55年度に国民年金の積立金がなくなり、現役収入に対して35〜37%の水準になるという厳しい見通しに。ただルール上は5割を切れば制度を見直すことになる。
徐々に年金水準が下がるのは、少子高齢化が進んでも、積立金や保険料収入の範囲で給付をまかなえるよう、年金水準を自動的に抑える仕組み(マクロ経済スライド)があるからだ。
ただこの仕組みはデフレでは発動しない。近年の賃金の下落傾向を受けて、5年前の前回検証時の給付水準(62・3%)と比べて、いまの水準の方が逆に上がった。いまの受給者にはよいが、将来世代に減額の「痛み」を先送りした形になっている。今回、年金減額を少しでも緩和する制度改正を実施した場合の試算も実施された。具体的には、保険料支払期間の延長、パート労働者への厚生年金の適用拡大などの影響を検討した。いずれも給付水準が高まるとの結果だった。これらのデータを基に厚労省は制度改正案づくりに着手する。
(6月3日 朝日新聞)
- 厚生年金 加入期間70歳以上も 受給年齢見直しに合わせ (2019-04-25 13:19:22)
- 遺族補償年金訴訟 男女差は合憲 最高裁初判断 (2017-03-23 19:00:23)
- 遺族補償年金 受給要件男女差訴え (2017-03-09 19:30:22)
- 年金 年金額の抑制強化へ 改革法成立 現役賃金下がれば減額 (2016-12-16 19:11:25)
- 高額医療 外来負担上限2倍に 70歳以上の一般所得者 (2016-11-30 20:25:57)
- 高額医療 外来負担上限2倍に 70歳以上の一般所得者 (2016-11-30 18:01:44)
- 介護休業を知らない40代が8割 低い取得率を裏付ける結果に 民間ネット調査 (2016-11-24 18:38:38)
- 育児休業の期間 最長で2年 厚労省 (2016-11-22 19:31:24)
- 年金受給に必要な保険料支払期間 10年に短縮へ (2016-09-28 18:31:04)
- 国民年金保険料 強制徴収を拡大 所得300万円以上に 納付率上げ (2016-09-23 18:14:03)