顔やけど労災の男女差、違憲判決確定 厚労省は障害等級見直しへ
顔などに著しい傷が残った際の労災補償で、男性よりも女性に高い障害等級を認めているのは違憲として京都府内の男性(35)が国に障害補償給付処分の取り消しを求めた訴訟で、厚生労働省が、国に同処分の取り消しを命じた京都地裁判決について、控訴しない方針を固めたことが10日、分かった。
現在の労災の障害等級制度では、容姿に著しい傷跡が残った場合、女性は男性より等級が高く給付額の差も大きい。厚労省は、控訴断念の理由を「控訴しても、障害等級の男女差の合意性を立証できる見込みは小さい。男女の社会通念の変化として判決を受け止める余地があると判断した」としており、男性の障害等級を取り消したうえで、障害等級制度そのものの見直しをすすめるとみられる。
原告の男性は平成7年11月、勤務先の金属精錬会社で作業中、大やけどを負い、顔や胸などに跡が残った。園部労働基準監督署は16年4月、男性の障害等級を11級と判断。
原告側によると、障害等級では、女性が同様のけがを負った場合、5級と認定され、男性は裁判で「法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」と訴えた。5月27日の京都地裁判決は「著しい外見の障害についてだけ、男女の性別で大きな差が設けられているのは不合理」などとして男性の訴えを認めた。
(6月10日 産経新聞)
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