非正規労働者の加入要件緩和へ・基礎年金(低所得者に加算、高所得者は減額)厚労省案
厚労省は23日、税と社会保障の一体改革に関する集中検討会議(議長・菅直人首相)に年金改革案を提示。現行制度の改善策として、菅首相が重点項目とするよう指示した非正規雇用労働者への厚生年金適用拡大を挙げ、低所得者向けに基礎年金の加算を盛り込んだ。これと併せ、高所得者の基礎年金減額を検討する。ただし、いずれも改革時期には触れていない。一方、民主党がマニフェスト(政権公約)に掲げた、税で賄う最低保障年金などの新年金制度については「一定の準備期間が必要」とし、基本方針を示すにとどめ、先送り。
『国民年金に加入する非正規労働者への厚生年金適用拡大について』
● 現在加入に必要な週の労働時間が「30時間以上」⇒雇用保険に合わせて「週20時間以上」とし、収入要件をなくす方向で検討
『最低保障機能の強化策について』
● 低所得者に対し、基礎年金を定額か定率で加算する制度を検討する。公明党案の「基礎年金の25%加算」が念頭にある。一方、高所得者については基礎年金の国庫負担分の減額(最大で50%)も盛り込んだ。減額ではなく、公的年金控除の縮小など増税で対応する案も併記。
『受給資格について』
● 現行の25年加入⇒10年への短縮を検討。
● 働く高齢者の年金を減らす「在職老齢年金制度」も、60〜64歳への支給を増やし、就労意欲を持ってもらう。今は給与と年金の合計が月28万円を超えると年金が減額される。⇒これを65歳以上同様、合計額が月46万円を超えるまで減らさない。
● 育児休業中の保険料免除を産前・産後期間にも広げる。
● 会社員らの厚生年金、公務員らの共済年金を統合し、官民格差の解消を目指す。
『保険料算定基準の「標準報酬月額」は見直し』
● 現行はどんな高所得者でも月収は最高で62万円とみなして保険料を計算している⇒みなし月収の上限を121万円へ引き上げることを検討。
このほか、デフレ下では発動しない、物価や賃金上昇率よりも給付の伸びを抑える「マクロ経済スライド」の見直しを示唆した。年金の支給開始年齢の引き上げは「中長期的課題」にとどめた。
(5月23日 ニュース)
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