公的年金未納広がる 2010年度国民年金納付率は最低に 厚生年金未納額過去最大に
公的年金の保険料を納めない個人や企業が増えている。2010 年度の国民年金の納付率は2月末までの累計で58.2%にとどまり、過去最低の更新は確実。会社員が加入する厚生年金では未納額が過去最大になる見通し。厚労省は滞納事業主の年金給付を制限するなど対策の検討に入ったが、年金制度の維持には抜本改革が避けて通れない。
● 低所得も理由
国民年金の保険料納付率は09年度に60.0%と過去最低更新。10年度は年度全体で、09年度を下回る公算が大きい。また、低所得を理由に保険料納付を免除される人が増えている。
第1号被保険者のうち、保険料を全額免除されている人の割合は2月末で28.3%
⇒過去最高だった09年度を上回るペースで、8年連続の増加になりそうだ。
納付率は免除者が増えるとかさ上げされることがある。このため厚労省は納付実態をより的確に示す指標として、免除分を分母に加えた「実質納付率」を毎年1回算出している。実質納付率は06年度に50%を割ってから下がり続け、09年度に43.4%まで低下した。10年度は 40%の大台割れも視野に。
負担の空洞化は会社員が加入する厚生年金でも進んでおり、世界同時不況があった08年度から納付率はじわじわ低下。10年度の納付率は1月末時点で97.1%と 1966年度(96.9%)以来の低水準。
● 背景に制度不信
未納分の総額は5442億円と4年連続の増加が確実。日本年金機構は「年度末に駆け込みで納める企業も多い」と説明するが、未納額は過去最大だった01年度(4330億円)を1000億円強も上回る。
未納が増えると年金財政が悪化し、将来的には給付水準の低下や、保険料率の引き上げにもつながりかねない。
厚労省は
⇒悪質な事業主を対象に、保険料を滞納した期間に応じて年金給付を制限したり、事業所名を公表したりすることを検討。
⇒国民年金でも財産を差し押さえる強制徴収を強化する方針。
また政府が6月末までに成案をまとめる社会保障と税の一体改革では、厚生年金加入を義務付ける非正規労働者の対象を今よりも拡大することで、若い世代の納付率引き上げを図る方向。
若年層の未納の背景(根本)には今の年金制度に対する不信があるからだ。
(5月9日 ニュース)
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