震災復興 復興予算の財源 年金財源転用も検討
東日本大震災の復興対策を盛り込んだ平成23年度補正予算をめぐって、民主党は高速道路の新料金割引を見直して財源に充てる方針を打ち出しました。政府は基礎年金の国庫負担割合(現行2分の1)維持のための財源を転用する方向でも検討に入っています。実現すれば、合わせて最大約4・5兆円の財源を確保できる計算だ。国債を増発すれば財政が一段と悪化するだけに、巨額の復興予算の財源をどう捻出するかは大きな焦点となっています。
高速道路の新料金は4月1日から、普通車で自動料金収受システム(ETC)搭載の場合が平日上限2千円、休日上限1千円などとする予定。財源は自民党政権時代に確保した予算3兆円の残り分2兆円を充当する仕組みだが、これを被災地復興に最大限活用する方向です。
一方、基礎年金の国庫負担維持のための財源活用について、野田佳彦財務相は「財源先行ではない」と述べるにとどめたが、政府関係者は「検討項目の一つ」と前向きな姿勢を示しています。
政府は基礎年金の2分の1を国が賄う方式を維持するため、23年度予算案に約2・5兆円を計上。財源は鉄道建設・運輸施設整備支援機構の剰余金などで、これらを復興財源に回す方向で検討しています。
民主党は復興予算の財源捻出に向け、子ども手当などマニフェストに掲げた政策の撤回も検討しており、また自民党内では時限的な増税案も浮上しています。
財務省はインフラ整備費を建設国債でまかない、それ以外は赤字国債での調達を想定。与党内では日銀が全額を直接引き受ける「震災復興国債」も議論されているが、ただ、日本の長期債務残高は震災による特殊要因を除いても、国と地方を合わせて23年度末には892兆円と国内総生産(GDP)の2倍近い水準に膨らむ見通しです。財政悪化に歯止めをかけつつ、復興対策をどう進めるか。政府は難しいかじ取りが迫られています。
(3月22日 ニュース)
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