労働契約と認めないが、「内々定取り消し」は会社の不法行為と認定 賠償命令 福岡
不動産会社コーセーアールイー(福岡市中央区)が採用の内々定を一方的に取り消したのは違法として、30代の男性が同社に約115万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は16日、一審福岡地裁判決に続き会社側の責任を認め、賠償を命じた。賠償額は一審の85万円から22万円に変更した。
判決理由で広田民生裁判長は「事前連絡や経緯の説明に不十分なところがあったと認めざるを得ない」と指摘し、同社の不法行為と認定。一方で「内々定の撤回には企業経営上の相当な理由はあった」と述べた。
訴訟の焦点だった内々定が労働契約の成立に当たるかの判断については
「内々定は内定と明らかに性質が違い、企業が新卒者を囲い込んで他の企業に流れるのを防ごうとする活動の域を出るものではない」として、一審同様に労働契約とは認めなかった。
原告代理人の光永享央弁護士は「一審に引き続き不法行為と認められた点は納得できるが、大幅な減額は残念。個人的には最高裁の判断を聞いてみたい」と話した。
控訴審判決によると、男性は大学4年だった2008年7月に内々定を通知され、入社承諾書を提出し就職活動を終了したが、内定式直前の同9月、世界的金融危機など経営環境の悪化を理由に内々定を取り消された。同社からはその後、具体的な説明はなかった。
(2月16日 時事通信)
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