僧侶は労働者か 勤務中の事故で障害 労災認定求め訴訟
以下、引用です。
福井県大野市の寺で僧侶を務めていた同市の男性(65)が勤務中の事故で障害を負ったとして、国に労災認定を求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、福井地裁で開かれる。僧侶が労災保険法上の「労働者」に当たるかどうかが争点となる。
訴状によると、男性は1977年から寺に勤務。2011年には寺から「給与と賞与」として、年額で計386万円を受け取った。翌年4月、檀家(だんか)を接待する酒宴中に寺の石段から転落。脳挫傷などで左半身にまひが残り、精神障害も発症した。
男性が労災認定を申請したところ、大野労基署は「男性が労働者に該当する」と認めた上で、事故が起きたのは業務中ではなかったとして、労災とは認定しなかった。
男性はこれを不服として、福井労働局に審査を請求。労働局は「宗教上の儀式、布教等に従事し、労災保険法上の労働者ではない」として、請求を棄却。僧侶が労働者に当たるかどうかについて、行政機関の判断が分かれる結果となった。その後、厚生労働省労働保険審査会も「事業主の指揮命令下で勤務し、その対価として賃金を受けていたとは認められない」として、請求を棄却した。
男性は「僧の職務は寺の指示に基づいており(住職との間で)使用従属関係があった。事故当日の接待は寺の公式的な行事で、業務による負傷だった」と主張している。
1952年の労働省(現厚労省)通達では、労働契約に基づき、労務を提供して賃金を受ける人を「労働者」と定義し、給与を受けずに宗教上の儀式などに従事する人は「労働者ではない」と規定。奉仕や修行の信念に基づいて勤務し、報酬を受ける場合は、個々の事情に即して判断するとしている。
男性の弁護士によると、僧侶が労働者と認められた判例はあるという。
(1月12日 中日新聞)
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