職務発明の指針案公表 従業員の権利保護と企業側の訴訟リスク低減のため労使協議で基準設定を 特許庁
以下、引用です。
特許庁は16日、社員が仕事で行った発明(職務発明)の特許権を「会社のもの」とする際に必要な手続きを示した指針案を公表した。来年4月にも施行される改正特許法は、企業が特許権を得る場合、職務発明に対する報奨の基準の設定を義務づけている。指針案では労使協議で基準を決めることなどを要請。発明した従業員の権利を保護するとともに、企業側の訴訟リスクを低減する狙いがある。
特許庁は有識者委員会で議論を深め、指針の詳細な内容を年内にも固める方針だ。
同日提示された指針案では、基準作りの適正な手続きとして、(1)企業は労働組合や従業員の代表者と協議する(2)従業員に対して、基準を開示する(3)発明に対する報奨を実際に決定する際には発明者から意見を聴取し、異議申し立てができるようにする−−など基本的な事項が盛り込まれた。今後は、発明者が昇進や留学など金銭以外で優遇される場合や、退職した発明者の扱いなどについても議論し、指針に反映させる。
指針に法的拘束力はなく、大半の大企業では既に独自の報奨基準を設けている。ただ、企業側は「指針で示すような丁寧な基準作りをすることで従業員の納得感が高まれば、結果的に訴訟のリスクは小さくなる」(製造大手)として、指針の内容を注視。「指針を踏まえ、基準を再検討する企業が多いとみられる」(特許庁)という。
一方、中小企業で基準を設けているのは、2割程度と少ない。特許庁では専門家を無償で派遣するなど中小企業の基準作りを支援する考え。ただ、発明の件数が少ない中小企業では基準作りを望まないケースも多いとみられる。このため、改正特許法は基準を設けない企業では、従来通り特許権を「社員のもの」とすることも認めている。
(9月16日 毎日新聞)
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