石綿製造大手ニチアス 元従業員2人へ計4180万円の賠償命令 岐阜地裁
以下、引用です。
アスベスト(石綿)製品製造最大手だったニチアスの羽島工場(岐阜県羽島市)の元従業員2人が石綿を吸って健康被害を受けたとして、同社に計約5940万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、岐阜地裁(唐木浩之裁判長)は14日、同社に計約4180万円の支払いを命じた。ニチアスの石綿訴訟で、元従業員の請求を認めた判決は初めて。
訴訟では、じん肺を発症した原告の1人が退職後に見舞金を受け取った際に書いた念書の効力が争点の一つだった。ニチアスは「和解契約が成立し、原告の損害賠償請求権は消滅している」と主張したが、判決は「病状悪化後の損害までは含まれない」と退けた。時間を経て重症化した他の元従業員の救済に道を開く可能性がある。
原告は山田益美さん(72)と角田正さん(80)。判決などによると、山田さんは1959〜67年、角田さんは60〜95年に羽島工場に勤務し、石綿と石灰などの粉をスコップで混ぜ合わせる作業などに従事。2人は大量の石綿の粉じんを吸って石綿肺などに罹患(りかん)したのは、ニチアスに安全配慮義務違反があったと主張していた。
判決は、健康被害の予見可能性について、労働省(当時)が予防対策指針を示した58年の時点で既に石綿肺に関する医学的知見が確立していたと指摘、2人が石綿肺になることは予見可能だったと認定した。そして、2人の労働環境は「換気対策が不十分で、マスク着用も徹底されていなかった」として、同社に安全配慮義務違反があったと認定。ニチアスに対し、山田さんには約2200万円、角田さんには退職時見舞金600万円を差し引いた約1600万円と、2人の弁護士費用計約380万円の支払いを命じた。
ニチアスを巡っては、元従業員らが2010年に岐阜など3地裁に一斉提訴。札幌訴訟は12年に和解。奈良訴訟は14年に奈良地裁が請求を棄却、大阪高裁も控訴棄却したため、原告が最高裁に上告した。
(9月14日 毎日新聞)
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