日本通運と子会社が違法派遣 港湾労働で法定の日数超過
以下、引用です。
物流大手の日本通運(本社・東京)が北九州市の関門港で、子会社から法定の上限日数を超える港湾労働者派遣を受けていたことがわかった。福岡労働局も調査を開始。日通福岡支店は「労働局などから指摘があるまで知らなかった。今後は社員教育を徹底したい」と話している。
昨年の12月に福岡労働局の調査を受けているのは、北九州市若松区の関門港にある製鉄工場敷地内にある日通事業所と、子会社の日通八幡作業(同市八幡西区)。
日通によると、製鉄会社から船荷のくず鉄などを積み下ろしする港湾荷役の仕事を請け負っており、人手不足のときは派遣契約を結んでいる八幡作業から労働者の派遣を受けている。
港湾労働法などは港湾派遣を繁忙期に限った短期的なものと位置づけ、派遣日数を「1カ月につき7日を超えてはならない」と定めている。無制限に認めると雇用関係があいまいになり、派遣先で不当な扱いを受けかねないからとされている。
しかし、日通は2012〜14年、仲介機関の「港湾労働者雇用安定センター」を通じ、八幡作業にフォークリフトの操縦など特殊技能を持った社員を派遣するよう要請。結果、5人の社員がのべ44回にわたり上限日数を超えて派遣された。日数は最長で1カ月に20日前後だった。厚生労働省によると、これまで同様の違反を把握したことはなく、初めてのケースだという。
港湾労働者雇用安定センターは厚労相指定機関で、派遣元から派遣労働者の名簿を、派遣先からは業務終了後に日報を提出させている。センター関門支部では問題は把握しておらず、提出名簿が書き換えられていたとみられる。
この点について、複数の八幡作業社員は、7日を超える分の名簿書き換えは日通も了解していたと証言したが、日通福岡支店は取材に「子会社の判断で行われた。指示したこともない」と話した。
港湾労働に詳しい棗(なつめ)一郎弁護士(東京)は「労働者を守るための上限日数を無視するのは、安定雇用のもとで働く権利を阻害する行為。派遣先にも就労を管理する義務があり『知らなかった』では通らない。他の港でも表に出てこない違反事案がある可能性がある」と話す。
福岡労働局はグループ全体に責任があるとみて日通、八幡作業双方の処分を検討しているとみられる。
(2月10日 朝日新聞)
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