マイナンバー導入まで1年 民間企業の準備に遅れ目立つ 情報流出の懸念も
以下、引用です。
社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度の運用が始まる2016年1月まで1年を切った。全国民に割り当てられるマイナンバーは納税事務や年金給付など、さまざまな場面で使われる。行政機関が準備に追われる一方、民間企業の動きは鈍く、制度への理解は進んでいない。対応の遅れは情報流出などのトラブルにつながりかねない。
「消費税導入に匹敵するインパクトを(企業活動に)与える」。野村総合研究所の梅屋真一郎氏は14年12月、都内で開かれた企業向けセミナーで、準備を急ぐよう促した。源泉徴収票などの作成にマイナンバーは必要になり、企業は、アルバイトも含め給与・謝礼を支払う全ての相手の番号を集め、管理することを求められる。帳票類やシステムの変更には費用も掛かる。
また、マイナンバーは法律で使い道が決まっており、社員番号の代わりに使うことはできない。マイナンバー入りの名簿を不正に持ち出すと最長で懲役4年が科されるなど罰則も重く、厳格な情報管理体制が不可欠だ。梅屋氏は「直前で慌てないよう、夏ごろまでにめどを付けておくべきだ」と語る。
しかし、企業人事支援サイト「日本の人事部」が14年9月に実施したインターネット調査によると、回答した282社のうち、マイナンバー制度への対応に着手した企業は6%足らず。「準備を始めていない」は7割に上った。調査担当者は「中小企業の場合、対応が必要なことすら知らない」と危惧する。
マイナンバーへの対応が遅れれば、どうなるのか。例えば、税金関係の書類にはマイナンバーの記載が義務付けられるため、番号がないと受理されない可能性がある。その場合、手続きが遅れ、後で社員自身が確定申告をしなければならない事態も予想される。
情報管理が甘いと、マイナンバー入りの情報を誤って外部に送信したり、不正アクセスで社員の番号情報を抜き取られたりする危険性が高まる。漏れたマイナンバーは「成り済まし」などに悪用される恐れがあり、同様の制度がある海外では、他人の年金を不正受給する事件が頻発する。
政府は14年末にようやく事業者向けのガイドラインを公表した。今後、各地の商工会議所や税理士会などを通じ、情報提供を急ぐ考えだ。
(1月2日 時事ドットコム)
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